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照度ゼロの暗闇の中で散歩をしてみた!!

更新日:4月30日



先週末、竹芝の『DIALOGUE DIVERSITY MUSEUM 対話の森』で【ダイアログ・イン・ザ・ダーク】を体験してきました。


あまりにも素晴らしい体験だったのでご紹介したいと思います。


https://taiwanomori.dialogue.or.jp/did-ticket/



照度ゼロの暗闇で、どんなに目を凝らしても見ることができない空間。

白杖と己の視覚以外の感覚を使い施設内を冒険するという内容。


流石にそれだけじゃ怖すぎるんだけど、そんな我らを導いてくれる暗闇のエキスパート、視覚障害を持つ方がサポートとガイドをしてくれます。


今回は公園を散歩をし、電車に乗り、おじいちゃんの家に行き、カフェで一休みして、元の光の世界に帰ってくる。

季節や期間によって内容は変わるそう。

参加した翌日からは、テレビドラマ『ラストマン 全盲の検査官』とのコラボに内容が変わると言っていたので今回の内容はその日で最終日。なのでネタバレを含む詳細なレポートを綴りたいと思います。




【出発前:明るい世界】


完全予約制で私の参加したその回の参加者は8名。


まず施設に入る前に明るいところで、暗闇の中で呼んでもらうあだ名を決め、軽めの自己紹介。施設の中で使う白杖を自ら選び、ガイドのタエさんからその日の流れなど説明を受けました。


白杖は長さやグリップ部分の太さ、クッション性なんかも微妙に違う。

ヘソより上で胸の辺りくらいまでの長さの物を好みで選んで。というざっくりアドバイスにまるで鬼滅の刃で日輪刀を作る玉鋼を選べと言われ戸惑う竈門炭治郎の心地だったけど、見てもらって人に決めてもらうのではなく、自分で手に取り感覚で選んでいく。

このスタートが暗闇を行く覚悟に繋がっていたと思います。

振り返ればとても大事な瞬間でした。


皆、結構楽しみよりも不安が勝っていたのを察したタエさんは“不安や恐怖は本当は怖いんじゃなくて、知らないということが怖い。知ってしまえば割と大丈夫なんです。”という旨の心強い言葉をかけてくれました。

これはよく聞く話ですが、あの日あの状況下で視覚障害を持っているタエさんの優しく弾む声はめちゃくちゃ響き、序盤でうっかり涙が出そうになりました。




【出発→公園へ:薄明かり→照度ゼロ】


施設に入り、扉の向こうからはもう冒険。

程なくランプの灯りを消し、照度ゼロの暗闇の世界。

どんなに目を凝らしても見えないのに体は自動的に見よう見ようとする。

白杖と手・腕を使い空間を嗅ぎ分けようとする。


もちろんそれらは役に立ったけど、足から入る情報のインパクトに驚いた。

公園の芝生を足で感じ、ああ、これがベースなんだと実感。

そこに流れる水の音や鳥の声、聴覚はメロディ。緑の葉の匂いは嗅覚。きっとこれは対旋律。音楽の構成の様に感覚を細かく区別しながらも結局立体的に組み立てる作業のように歩いた。作曲や自分の体で音楽を作る様な心地。ただ、リズムは不在。ある意味シンコペーションを多用。


そして壁にぶつかったり、木を触ってみたり。

ベンチの形の2人乗りブランコをみんなで協力して順番に乗ったり、水を触ってみたり。

今思えば暗闇で少しパニックになった我らを闇に慣らすための癒しの公園でした。




【電車に乗って、座って、降りて。:真っ暗闇】


次に電車に乗ろうとホームのスロープを上がり、乗車。

内部がどんな座席なのか全く分からず、横並びのシートのつもりで探してなんかおかしいなと思ったらボックス席でした。

私は暗闇でも割と躊躇なく動く方で大きな声で仲間を呼び、一緒に座ったり。

降車する時出口が分からず、ちょっと大胆に探してみるか、と、みんなから少し離れた時の白杖の響き方で空間の広さをクリアに感じ、お。何か掴んできたぞ!!と電車から降りながら調子に乗ったりなどしました。




【おじいちゃんの家:マジで真っ暗】


今度はおじいちゃんの家。玉砂利の間を白杖で刺して進む賑やかさがありました。


ここは結構難関で、アニメやドラマの中の日本家屋しか知らない私にはちょっと分が悪い。

それでも勇敢すぎて低めの竹のフェンスに何度も弁慶をやられ、縁側を探そうと不意に屈んだ時には頬を擦る。。。

さすが診断済みのADHDだなと痛感。



声のする方で縁側を見つけ、腰掛ける。

ちょっとまったりして、じいちゃんを待つものの現れず。

家に上がって待ちましょう。となり、靴を脱ぎ部屋に上がってみました。


これ、戻って靴履いて移動する時、自分の靴ちゃんとわかるのか?靴はちゃんと履けるのか?という不安を抱えながら、畳と縁側の間の変な出っ張りに足をぶつけ、また痛い思いをし、それを皆にアナウンス。

子供の頃からいつもはみ出していると厄介がられたり面白がられたり。炭鉱のカナリアだとかファーストペンギンだとか言われていたのを思い出し胸が痛い様な、心地いい様な。


おじいちゃんの家を物色。躊躇なく茶箪笥を開け探る。何十年ぶりに黒電話を触る。

ちゃぶ台の封筒の中にカフェで使えるチケットなるものを発見し、じいちゃんには会えないままじいちゃんの家を後にする。

不安だった靴はびっくりするくらいスムーズに履けた。



じいちゃん出てこいよ!!!!

(留守にお邪魔して失礼しました。)